こだま句会

退職者こだま句会の良さは、太田土男先生(「草笛」代表、「百鳥」同人)のていねいな指導、楽しい、わかりやすい、実作中心、会費(800円程度)の安さなどです。 俳句は、日々の生活、心の自分史でもあります。新しくやってみようという方がたを歓迎します。季節により、戸外へ出て吟行も楽しみます。参加をお待ちしています。

 日 程 ◇ 毎月第2木曜日 13:00から
 ところ ◇ 神奈川県庁本庁舎地下1階県労連会議室 (月によって変わることがあります。ホームページ、会報を参照してください)
 申込み・問合せ ◇ 事務局まで。45-212-3179

●こだま俳壇(2024年6月句会) ダウンロード ➡ PDF

齢重ね縮むわが身や更衣           角田英昭

蛍見て星見て旅を終わりけり      松尾佐知子

そろそろに終活のこと更衣       友井眞言

早苗田や高台走るバスの窓       本山文子

更衣うぶ毛の光る少女かな       中野みどり

あじさゐや友の愚痴聞く昼下り     島田多嘉子 

あめんぼうを散らして過る島の雨    田中一男

更衣鏡の前で色合わせ         中村桂子

直かに着る縞のTシャツ更衣      大塚敏高

睡蓮と風知草ある蒲鉾屋        柳瀬節子

大輪の薔薇に包まれおしゃべりに    高橋和江

朝顔の宇宙帰還の種芽ぶく       常世田芳子             

花菖蒲姿勢よろしく凛と咲く      小室豊子

友亡くし涙にくれて濃紫陽花      並木まり子

梅雨に入り湧く蚊を叩く戦かな     後藤貞夫

我が庭の紫陽花二輪重たそう      瀧澤正行      

美しき捩花芝を喰って咲く       白井保次郎

托鉢に出てゆく僧も更衣    講師  太田土男先生

●こだま俳壇(2024年3月句会) ダウンロード ➡ PDF

窯跡の色絵のかけら春の雪          友井眞言

ガラス窓光る校舎を卒業す       中野みどり

卒業写真五人のうちの一人欠く     松尾佐知子

見守りに「ありがとう」って卒業す   瀧澤正行

卒業や揃いし全集そっと撫で      木村武子

春の雪名残の姿長屋門         本山文子

彩りはパステルタッチ山笑う      大塚敏高

卒業や校門出ても涙なく        後藤貞夫

蕗の薹手土産にして友の来る      柳瀬節子

いつの間に我出遅れて蕗の薹      並木まり子

卒園の児らの成長日誌見る       角田英昭

山頭火像をおぼろになごり雪      田中一男

春雪や雪かき頼むとメール来る     中村桂子

青き踏む青春語る友は亡し       島田多嘉子 

憎しみの輪廻よ溶ける春の雪      白井保次郎

卒業の友とたたずむ堤かな       常世田芳子

お玉じゃくし池に群れたり山笑う    小室豊子   

太平洋百万本の霞草          高橋和江

逆上り上手になって卒業す    講師 太田土男先生

●こだま俳壇(2023年12月句会) ダウンロード ➡ PDF

冬の陽に部屋の奥まで覗かれる        白井保次郎

雑魚寝して足の陣取り置炬燵      小室豊子

木枯に追われてくぐる縄暖簾      友井眞言 

農の句を詠みし友逝く霜降月      松尾佐知子

過疎の村落葉の上にまた落葉      角田英昭

毎日が炬燵の人になりにけり      高橋和江

動員の氷雨に追われ還らざる      田中一男

冬の星句会先達の死を悼む       島田多嘉子    

姉妹して父に𠮟られ炬燵入る      並木まり子

木枯や寅さん佐渡に宿を取る      瀧澤正行

凩とともにラーメン屋に入る      中野みどり

猫も子も場所取り合いの炬燵かな    常世田芳子 

歳時記に亡母の拾いし落葉あり     中村桂子

極月や後ろへ投げる楕円球       坂守

炬燵入り小粒の蜜柑超甘し       後藤貞夫

鉢の磯菊陽差しを浴びて咲き始め    柳瀬節子

七ならべ皆集まりし炬燵かな      大塚敏高

木枯の吹きすさびけり長屋門      本山文子

切炬燵はや足げんか兄妹        木村武子

      

       花札の散らかっている炬燵かな      講師 太田土男先生

●こだま俳壇(2023年9月句会) ダウンロード ➡ PDF

廃線のレールに続く花野かな          田中 一男

栞して長編閉じる夜長かな       友井 眞言 

句を拾い傘寿の秋を楽しめり      角田 英昭

肩車空を指さす良夜かな        中野みどり

顔に絵の女ら妖し夏祭         柳瀬 節子

野地菊や向こうの海の波しぶき      高橋 和江        

親友の亡くなりし日の蝉時雨      白井保次郎

皺深き顔を鏡に長き夜         中村 桂子

保険証残すに署名百日紅        島田多嘉子

人絶えて看護の詰め所長き夜      本山 文子

秋晴れや運転免許更新す        瀧澤 正行

長き夜は友より来たる吟醸酒      大塚 俊高

蟷螂の怒っているよ物価高       並木まり子    

台風の進路にやきもき旅支度      小室 豊子

秋うらら二人を送る大さん橋      常世田芳子       

久々の横浜スタジアム花火見る     後藤 貞夫

夜長し「チボー家の人びと」を読む   木村 武子

独り膳少し豪華に良夜かな       松尾佐知子

一生の最晩年の良夜かな     講師 太田土男先生

●こだま俳壇(2023年6月句会) ダウンロード➡PDF

夏芝居はねて出でゆく雨の街         中野みどり

名を知れば振りてみたしよ小判草    島田多嘉子

読みさしの頁開きて梅雨ごもり     友井眞言 

脇道の蟇子供等を通せん坊       白井保次郎

梅雨なれど陽を求めんと人と亀     並木まり子

梅雨晴間こどもがはしゃぐ水溜り    瀧澤正行

荒梅雨や濁流街を一呑みに       角田英昭

梅雨寒に黒々と立つ地蔵堂       本山文子

走り梅雨堤防に這ふ蝸牛        後藤貞夫

鮎焼いて夫と一献傾ける        小室豊子

梅雨寒や腕摩りつつ立話        柳瀬節子

マネキンの眩しき腕更衣        田中一男

紫陽花の窓辺をかざり外は雨      常世田芳子

晴れ晴れと今年の茶刈り終わりけり   中村桂子

荒梅雨や山小屋しかと閉ざしをり    木村武子

甥の手で伸びをしている守宮君     高橋和江        

黙々と寺の石段若葉風         松尾佐知子

梅雨晴れや逆さに並ぶ色長靴    講師 太田土男先生

こだま俳壇(2023年3月句会)

雛の前に雛の顔して座りけり         中野みどり
麗らかや改札鋏の音一つ        友井眞言 
蕗味噌を肴に語る母のこと       島田多嘉子
風光る午後の吹奏楽部かな       田中一男
うららかや第一球はストライク     木村武子
うららかやお腹を見せて眠る猫     常世田芳子
制服があふれる駅の弥生かな      柳瀬節子
泣きべそにあめ玉一つ風光る      並木まり子
お豆腐に蕗味噌乗せて一人酒      瀧澤正行
蕗味噌や酒は旨口ぬる燗で       角田英昭
優等と言われし卵風光る        後藤貞夫
うららかやトリコロールのバス走る   高橋和江        
蕗味噌を豆腐にのせて薬膳に      小室豊子
願い込め鴻巣人形雛壇に        白井保次郎
ふきのとう苦み一味朝の膳       中村桂子
よこはまを離れず老いし雲の峰     三井光子
春風に言の葉ふっと消えにけり     松尾佐知子
     
麗らかやからくり時計人だかり    講師 太田土男先生

★会員の俳句★ 

●こだま俳壇(2022年12月句会)   ダウンロード→PDF

木枯しや字に一灯あるばかり       中野みどり
玄関にひらり舞い込む枯葉かな     柳瀬節子
幼き日聖菓欲しさの信者かな      本山文子
兵士らに届けと子らの聖歌かな     角田英昭
木枯しや落葉踏む音心地よく      小室豊子
舟で行く小さき島の聖誕祭       友井眞言
月食や独り茶漬けをすすりをり     木村武子
木枯しや十五年もの戦争史       田中一男
旅の友独り旅路に急ぎ去り       後藤貞夫
クリスマスせめて停戦祈りけり     松尾佐知子
冬に入る母の命日一人酒        瀧澤正行
学友の訃報の届く冬銀河        島田多嘉子
木枯しや太白星の光増す        白井保次郎
雷鳥や雪を蹴散らし餌競う       常世田芳子
福寿草五つ並んで咲きにけり      高橋和江
木枯しの音聞くように彼は逝き     並木まり子
サイレンの風花となり消えゆけり    三井光子
学友の訃報の悼み冬銀河        島田多嘉子
着膨れて動きのにぶき介護の手     中村桂子
木枯や戦を知らぬ人増えし    講師 太田土男先生


●こだま俳壇(9月通信句会) ダウンロード⇒PDF
友逝きて名残りの月の一人酒     角田英昭
母の手が鉛筆削る月夜かな      瀧澤正行
満月を背負いて帰る田舎道      白井保次郎
月を愛でいつか想いは無言館     松尾佐知子
人消えし廃墟の町の月明かり     中野みどり
終バスの月の鉄橋渡り消ゆ      田中一男
言訳の唇見つめ秋扇          友井眞言
旅心深まりゆくや秋白し        小室豊子 
はらからの訃報飛び込む無月かな  三井光子
月の宴一升瓶に薄かな        柳瀬節子
アメンボウわがもの顔の秋の池    並木まり子
平平と子に任します墓掃除      高橋和江
青空に向日葵笑い子も笑う      常世田芳子
故郷や山深き道捨扇         木村武子
繰り返し開いては閉じ秋扇      島田多嘉子
月見草今宵も雨月闇深し       中村桂子
猛暑過ぎ座卓に座る秋扇       後藤貞夫
港行くあかいくつバス小望月     太田土男先生

●こだま俳壇(2022年7月)ダウンロード→PDF

桑の実や古老伝える絹の道  本山文子
浅草の路地の明るし七変化   田中一男
うどん打つ腕逞し夏のれん  鳥海敏雄
朝顔に水やる女児や裏通り  瀧澤正行
朝顔やいくつ咲いたと子らの声  角田英昭
開け放す部屋の仕切りに夏暖簾  島田多嘉子
朝顔や駄菓子屋つひに店じまい  松尾佐知子
夏暖簾媼の杖がもちあげる  中村桂子
余生なり紺の朝顔風まかせ  小川水草
半夏雨歳時記を繰る指の音  友井眞言
夏のれんとろろ定食すすりおり  木村武子
開墾し小玉すいかを植えにけり  常世田芳子
押し上げてそそる蕎麦の香夏のれん 後藤貞夫
この花の愛素直なり捩花  白石保次郎
風清し早苗が満つる田んぼかな  柳瀬節子
朝顔やオールバックと坊主刈り  高橋和江


●こだま俳壇(2022年4月句会) ダウンロード➡PDF

あるがまま生きて独りの花見かな  三井 光子
花冷えや人道回廊に狙撃兵     田中 一男
長生きの桜吹雪を浴びにゆく    白井保次郎
花過ぎてひと息つきし長寿かな   高橋 和江
春の夜や映画「ひまわり」もう一度 松尾佐知子
三味響く芸者小道の花の雨     角田 英昭
自販機に「冷たい」が増え夏近し  中野みどり
花の雨体に浴びて走りけり     瀧澤 正行
酒呑みの羅漢の盃に花の雨     友井 眞言
手の平に花の雨うけ傘さしぬ    島田多嘉子
菜の花の中州近くや川鵜群れ    柳瀬 節子
花の雨薄墨色の長屋門       本山 文子
花冷えに友との酒宴終わりなし   並木まり子
花の雨川面に降りて竿をさし    後藤 貞夫
竹藪や黄味がかりきて夏近し    中村 桂子
満開の桜の下の老夫婦       常世田芳子
花の雨友の入院知らせあり     小室 豊子
春の山ピンクのジャンバー色そえて 小林 久子
花冷や吉野葛溶き湯吞吹く     木村 武子
百歳が戦争𠮟る花ふぶき      講師 太田 土男

こだま俳壇(2021年12月句会) ダウンロード➡PDF
禁解けて舌で転がす燗の酒    角田英昭
留守電に残る無音や冬の月    三井光子
熱燗のうまさがわかる齢かな   小室豊子
熱燗やふと口をつく革命歌    中野みどり
着膨れし媼の膝の子猫かな    島田多嘉子
熱燗や銚子十本世を語る     瀧澤正行
冬薔薇の頭を垂れる小雨かな   白井保次郎
着膨れて丘の端に待つ月の蝕   田中一男
鍋の夜は一人酒でも熱燗で    並木まり子
熱燗や熱き言葉で語る友     松尾佐知子
日向ぼこ子猫が大きくのびをする 中村桂子
保護犬の毛をすく少女冬麗    友井眞言
熱燗に板山葵添えて旅終る    柳瀬節子
冬日和くつろぎみゆる庭の木々  本山文子
熱燗や粋を兄弟好みけり     高橋和江
冬日和故郷の山は綿帽子     常世田芳子
着膨れて古紙回収に子等遊び   後藤貞夫

●こだま俳壇(2021年10月)  ダウンロード➡PDF

秋の水流れを分ける石一つ   島田多嘉子
揃へたる手話の指先涼新た   坂   守
街の灯を離るる舟や水の秋   中野みどり
薄闇に池の浮草秋の風     本山 文子
一人居の自粛の日々や虫の声  松尾佐知子
阿弖流爲の駆けし天地や星流る 友井 眞言
すくい取る水の軽さや秋の水  中村 桂子
マンションの足場作業に西日かな 瀧澤 正行
昼の月白さ極める残暑かな   三井 光子
添水(そうず)鳴る茶席の気配深みゆく 木村 武子
ワクチンの接種祝いに新酒かな  柳瀬 節子
宅配の荷物の運ぶ残暑かな    田中 一男
駅降りて荷物の重み残暑尚    並木まり子 
秋の水光を受けて山写す     小室 豊子
チヌ(黒鯛)待ちて我慢比べの秋暑し 角田 英昭
地に注ぐ流星群や何処落ち    後藤 貞夫
蜩の声透き通る夕間暮      白井保次郎
瓶に挿すハーバリウムの水中花  高橋 和江
秋の水山よりひいて鮎放つ    常世田芳子
流れ星釣り人一人居なくなる   講師 太田 土男

こだま俳壇(2021年7月) ダウンロード ➡ PDF

蝉生るここ被爆地と知りて鳴く   田中一男
慰霊の日みたび沖縄汚す罪 後藤貞夫
下駄の行く音の涼しき橋の上 中野みどり
炎天や坂の途中の木のベンチ    白井保次郎
雪渓や針の止まった腕時計     友井眞言
雪渓の溶け込む池の深緑      島田多嘉子
枝豆や土の匂いと青臭さ      柳瀬節子
サングラスとある昭和のスターかな 瀧澤正行
涼風や通す網戸に星宿る  木村武子
翡翠を双眼鏡で射止めたり     高橋和江
車椅子押す力失せ炎天下      中村桂子
大雪渓音立て登る槍ヶ岳      三井光子
雪渓や白馬岳の小屋泊り      坂守
雪渓や濃霧晴れゆきルピナス花   本山文子
涼しげな川音急かす下駄の音    並木まり子
涼しさや仕事を終えて見る月は   小室豊子
炎天下コロナ禍五輪進みおり    角田英昭
雪渓を登りつめるや桜草      常世田芳子
重機音止みて涼しさ戻りけり    松尾佐知子 
サングラス日本を暗くして歩く   講師・太田土男


●こだま俳壇(通信句会 ・ 2021年4月   ダウンロード→PDF
地下足袋の翁のすくと春の畑     鳥海敏雄
花柄の歯磨きコップ昭和の日      坂 守
戦争の語部老いて昭和の日       島田多嘉子
山葵田の崩れしままや熊野道      中野みどり
働いて得た長生きやさくら草      高橋和江
昭和の日憲法糧に今年喜寿       角田英昭
戦前といふ化け物や昭和の日      友井眞言
種芋は布団のような土の中       常世田芳子
駆け抜けた昭和の日に今戻りつつ    後藤貞夫
鶯の声して弾む会話かな        柳瀬節子
万祝や君の長寿を寿ぎぬ        木村武子
山葵田の水音清し落合楼        三井光子
うららかに友と語らい喜寿祝う     瀧澤正行
昭和路の歴史の重さかみしめる     中村桂子
春眠の夢妨げる愛猫よ         並木まり子
桜花咲きてこの世を一目見る      白井保次郎
昭和の日百歳目指せ昭和の子      田中一男
吹き渡る風もみどりよ山葵棚      松尾佐知子
とりあえず百寿を目ざせ花の雲     講師 太田土男


●こだま俳壇(2021年1月句会)   ダウンロード→PDF

白き地に晴の一文字初日記     木村武子
落款は朱の薔薇一つ賀状くる    三井光子
仲のよき夫婦に逢へり初詣     友井眞言
独り居の母に小分けの節料理    角田英昭
正月やどこへも行かず誰も来ず   中野みどり
賀状みてゆつくりお茶を飲み干しぬ 島田多嘉子
花を生け一気に気持ちは正月へ   小室豊子
初夢の誰もマスクをしておらず   松尾佐知子
明けの春朝湯のあとの一人酒    瀧澤正行
元旦の朝冴える月を一人じめ    後藤貞夫
神主の細き二の腕年用意      田中一男
正月は昔晴着今褞袍        井村友彦
羽子板のお飾り写す時の夢     白井保次郎
猿曳に引き回わされて夢醒めり   高橋和江
兄弟で父を語れば湯冷めせり    坂守
田舎より届きし餅は格別よ     常世田芳子
初釣やかすかに揺れる鯊の影    鳥海敏雄
手づくりの正月飾り眺め居り    中村桂子
初売りや農家の庭先のぼり立て   本山文子
お年玉今年も遊んでねと手紙添え  並木まり子
独楽回しなら子どもらに負けまいぞ 太田土男

こだま俳壇(10月句会)     ダウンロード→PDF

曼珠沙華砂丘の先の海と空    友井眞言
繋がりを絶やさず鷹の山別れ   高橋和江
手に馴染む母の擂粉木とろろ汁  田中一男
一人座すすずむしまつむしスマホ鳴る  木村武子
掃く人の無く禅寺のこぼれ萩   松尾佐知子
独り居のコンサートなる虫の闇  三井光子
淋しさのまっただなかや曼珠沙華  中野みどり
脱衣場の足元跳ねるちちろ虫   島田多嘉子
松虫や流るる雲はアンダンテ   角田英昭
いわし雲山への想いつのる日々  小室豊子
鈴虫の声を潜めて鳴く夜半    白石保次郎
長姉を亡くし深まる秋模様    後藤貞夫
せせらぎの狭き川辺に曼珠沙華  並木まり子
耳をつく青松虫や庭木立     本山文子
散歩する犬の首輪に曼珠沙華   中村桂子
曼珠沙華七人の名の黒マスク   瀧澤正行
村里は木犀の香に包まるる    常世田芳子
鎌倉の古道に白き曼珠沙華    鳥海敏雄
同窓会話題が尽きぬ夜長かな    柳瀬節子
虫時雨牛舎泊まりとなりにけり   講師 太田土男

●こだま俳壇(7月句会)    ダウンロード→PDF

桑の実や古老伝える絹の道  本山文子
浅草の路地の明るし七変化   田中一男
うどん打つ腕逞し夏のれん  鳥海敏雄
朝顔に水やる女児や裏通り  瀧澤正行
朝顔やいくつ咲いたと子らの声  角田英昭
開け放す部屋の仕切りに夏暖簾  島田多嘉子
朝顔や駄菓子屋つひに店じまい  松尾佐知子
夏暖簾媼の杖がもちあげる  中村桂子
余生なり紺の朝顔風まかせ  小川水草
半夏雨歳時記を繰る指の音  友井眞言
夏のれんとろろ定食すすりおり  木村武子
開墾し小玉すいかを植えにけり  常世田芳子
押し上げてそそる蕎麦の香夏のれん 後藤貞夫
この花の愛素直なり捩花  白石保次郎
風清し早苗が満つる田んぼかな  柳瀬節子
朝顔やオールバックと坊主刈り  高橋和江
朝顔や普段の暮らし戻りつつ  大田土男(講師)

〇こだま俳壇(4月・通信句会) ダウンロード→PDF
(以下、自選による)
老猫と生きる競争桜咲く    白井保次郎
菜の花や寅さん帰る江戸堤   瀧澤 正行
子の姿消えし校舎に花吹雪   松尾佐知子
老桜幹に二輪の華残し     角田 英昭
山里のこの日溜りの藪椿    田中 一男
文机に抽斗ふたつ春の宵    坂   守
一面の菜の花畑にトラクター  鳥海 敏雄
蒲公英のにこにこ並ぶ切り通し 島田多嘉子
窓越しにむらさき滲む山ざくら 本山 文子
走友の棺に桃花ランパンと   友井 眞言
花林檎母と二人で摘みにけり  常世田芳子
新コロナ停戦もたらす世直しに 後藤 貞夫
コロナ禍や戦争よりも不気味な春 木村 武子
藤色の衣装似合う手に回覧板  中村 桂子
夢を見た田鼠化して鶉となる  高橋 和江
花筏疫病の街流れゆく     講師・太田 土男

〇こだま俳壇(2020年1月) ダウンロード→PDF

畑から野鼠逃げる大根引        友井眞言
日向ぼこ代行バスを待ってゐる     坂 守
京菓子の色さまざまに春隣       田中一男
よちよちとフェルト沓の児青き踏む   木村武子
朝霜や大根の葉を押しまげる      中村桂子
寒さ耐え怒りの拳反カジノ       後藤貞夫
六畳間ちょこんと母の日向ぼこ  瀧澤正行
初日さす片瀬の浜に砂人魚  鳥海敏雄
患ひし句友をしのぶ初句会  島田多嘉子
初句会飛び立つ鳥に励まされ  柳瀬節子
蠟梅や大山裾の陽だまりに  本山文子
水仙の香に送られて初句会  松尾佐知子
千両の実鮮やかなりし仏間かな  白石保次郎
手間かけて大根料理の味尽くす  高橋和江
清烈に軒に並ぶや三浦大根  常世田芳子
日向ぼこ七福神の五人ほど  講師 大田土男


〇こだま俳壇(2019年10月)ダウンロード→PDF

残照を総身に浴びて柿すだれ   田中 一男
寺の庭落ち銀杏をひとつ踏む    島田多嘉子
野良猫のねぐらゆたかな草紅葉  中村 桂子
白濁の湯に紅葉の散りにけり    友井 眞言
冷気満つ坑道なんと千余キロ   角田 英昭
藪の中スポットライトの天狗茸   常世田芳子
三分の診察終えて初紅葉     鳥海 敏雄
赤まんま舗装の端にひょろり咲く  柳瀬 節子
石積みにすすきが光る露天風呂  瀧澤 正行
薄紅葉雨傘の波揺るぐデモ     木村 武子
鉱毒で亡びし村や萩の花      松尾佐知子
きのこ飯姉を囲みてつどう夜    本山 文子
この川をのさばり泳ぐぼらの群   後藤 貞夫
毒茸食べし話を面白く   講師・太田 土男

こだま俳壇 (2019年7月) ダウンロード➡PDF

遠雷や玉菜刻む手早くなり     木村 武子
雷鳴や津軽の三味と二重奏     瀧澤 正行
強くなる父への想ひ盆仕度     田中 一男
セスナ機の影もさがみの植田かな  小川 水草
安全の見守り隊や夾竹桃      中村 桂子
駅中を黒あげは舞ふ便りかな    後藤 貞夫
広島と沖縄の花夾竹桃       松尾佐知子
煙突の無い街となり夾竹桃     友井 眞言 
夾竹桃生け垣にする町工場     島田多嘉子
船頭の声飛ばされて春嵐      柳瀬 節子
ふるさとを照らし続ける蛍かな   鳥海 敏雄
いかづちや百年の安心どこへ    角田 英昭  
夏空に自分の想ひぶつけてる    白井保次郎
夾竹桃歓声ひびく青い空      本山 文子
容赦ない雷鳴の下山下る      常世田芳子
夾竹桃うとむ気持の少しある 講師 太田 土男

〇こだま俳壇(2019年4月)         ダウンロード➡PDF

友がいて友と祝える喜寿の春   角田 英昭
何事もなかったように桜咲く    鳥海 敏雄
柿若葉となりに赤子生まれたり   島田多嘉子
姿勢良き老の二人に花吹雪    松尾佐知子
舞い戻る燕の滑空街の絵に       後藤 貞夫
遠蛙つくねんと聞く休耕田      本山 文子
彫深き戦碑を覆ふ櫻かな       田中 一男
葱坊主厨の隅で顔を出し       柳瀬 節子
春うらら丹沢の山高くなり      白井保次郎  
花冷えや老女の面のうつむきぬ   友井 眞言
百寿へとよき人生の菊の道      三井 光子  
本棚を眺め蛙の目借り時       木村 武子
青空に花びら映り門出かな      常世田芳子
「噛む」をやめ初蛙の声に耳すます 中村 桂子
悲しみが一休みする花の宴     高橋 和江
夕桜黒板塀に三味の音        瀧澤 正行
歳とるは智慧をつむこと花杏     講師・太田 土男

●こだま俳壇(2019年1月)       ダウンロード➡PDF

子ども皆帰り元日終りけり    松尾佐知子
初買や大きな文字の世界地図   柳瀬 節子
元旦のドアを静かにあけにけり  友井 眞言
初稽古うごかぬ指に鞭を打つ   中村 桂子
鍬始も少し先に延ばそうか    鳥海 敏雄
獅子舞や白髪頭を派手に噛み   木村 武子
正月や名前メモする喜寿の母   角田 英昭
初雀窓辺に留まり部屋覗く    瀧澤 正行
月冴ゆる太古の海に葦の舟    坂   守
「家族農業」国連も推す鍬始め  小川 水草
お正月水無川の水光る      井村 友彦
正月や着物きこなす粋な人 白井保次郎
寝室に父からのベル去年今年 高橋 和江
登り坂薄紅さして冬の富士 島田多嘉子
冬桜枯枝の中そっと咲き 後藤 貞夫
焚き染めし香のさまざまに初芝居 田中 一男
初詣親子で祈る安寧を 常世田芳子
友ありて平和楽しむ初御空  本山   文子
繭玉を飾り蚕飼を忘れけり  講師・太田 土男

●こだま俳壇(2018年10月)     ダウンロード➡PDF
柿熟るる村に自省の満蒙館      小川 水草
大漁旗賑わう浜の秋高し       友井 眞言
冬瓜のとろりスープのうすみどり    三井 光子
朝市の茸両手に山の宿         松尾佐知子
鈴虫の空家の庭で鳴き止まず     島田多嘉子
秋の夜の救急の音長きかな      白井保次郎
栗ごはん我は幾つとさわぐ子ら     本山 文子
渋皮を剥く母の手早さ栗御飯     角田 英昭
栗の実をそっとなでてる赤子の手   中村 桂子
人よりも先に柿食う雌の猿        高橋 和江
どんと置く一升瓶や友と月       田中 一男
秋刀魚焼き高値の夕食煙にまく    後藤 貞夫
野分あとデニー勝利のカチャーシー 鳥海 敏雄
勝ち栗を慰問袋に入れし頃      木村 武子
田圃見る翁はひとり鰯雲        柳瀬 節子
釣竿のまわりにでっかい緋鯉かな   井村 友彦
台風過辺野古を守る民意勝つ     瀧澤 正行



●こだま俳壇(2018年7月)    ダウンロード➡PDF
大花火夜勤の窓を轟かす       三井 光子
草の中鉄路は消えて雲の峰       柳瀬 節子
原爆忌つる折りつづけし母は亡く    島田多嘉子
盆踊り前に倣ひて輪に入る       瀧澤 正行
大花火商店街の心意気         友井眞言
沖縄忌共に生きんと清かな詩      小川 水草
濁流禍天の川だけ美しく          角田 英昭
手花火の心微かに揺れてゐる      鳥海 敏雄
蟻の列その先にあるシャングリラ     白井保次郎
暑き日やラジオうるさき理髪店      坂  守
遠花火ベンチの二人野球帽       木村 武子
曇っても暑さ変わらず森閑と       井村 友彦
原爆忌絵に画いてみるきのこ雲     中村桂子
夜嵐の七夕飾りの町抜ける        田中 一男
闘病の雲の流れを励ましに        後藤 貞夫
淡々と語る被爆者夏の昼         松尾佐知子
萱草やこがねに染まる佐渡の海      本山 文子
立山の出湯につかり天の川         常世田芳子
三千万署名の一人原爆忌         講師 太田 土男


こだま俳壇(2018年4月句会)  ダウンロード⇒PDF
ふきのとう採って食べなと床の姉    後藤 貞夫
春耕や野良着にこすり握手せり    小川 水草
見守りに照れる笑顔の入学児     瀧澤 正行
間のびした迷子の知らせ花の丘    田中 和夫
春雷や忖度国会叱咤する       角田 英昭
終活もままならぬまま桜散る      三井 光子
夕暮れの雨の気配や鰆焼く      島田多嘉子
若き日の父母もいた桜かな       友井 眞言
今は只余すことなく余花眺め      高橋 和江
公園の朝清掃やさわら焼く       本山 文子
花見酒格別うまし税還付        木村 武子
一本桜村の期待の応へけり       松尾佐知子
春嵐憲法論を聴きにゆく         鳥海 敏雄
花吹雪髪の間に間にとどまりぬ     中村 桂子
一片の桜の花を飲み干しぬ       白井保次郎
射干の花窓辺に鳥の糞の跡       井村 友彦

    

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